仙台市民の手頃な裏山「太白山」~低山だが急な鎖場あり熊にも注意

仙台の市街地から秋保温泉に向かう途中に「太白山(たいはくさん)」と呼ばれる山がある。

仙台の太白山

標高321mの低山だが、そこそこ目立つ独立峰だ。遠目に見るときれいなおむすび型をしていて、石垣島のマーペーを思い出す。正月休みの運動不足解消のため、国道286号から遠回りして茂庭台団地に向い、裏側の林道から太白山に登ってみた。

のどかな林道は日ごろの散歩によさそうだが、山頂付近は急勾配の鎖場だった。市街地に近いちょっとした裏山のようでも、登山靴が必要なほど道は険しい。熊も出るらしいので、登るにはそこそこの装備が必要だとわかった。

太白山の裏にある茂庭台団地

仙台の中心部から西に向かうと、すぐに青葉山や八木山という丘陵地帯に出くわす。太白山もその中のひとつ。少し歩けばすぐトレイルに出られるのがうらやましい。

今回は時間に余裕があったので、あえて遠回りして茂庭台団地の方から太白山に向かってみた。この団地はバブル期に計画されたニュータウンで、山奥に33階建てのタワーマンションがそびえている。仙台郊外の高層建築物としては、泉区の大観音や大年寺山の鉄塔に並ぶ規模だ。

茂庭台団地

当初は市営モノレールの南西線が通る計画だったが、バブル崩壊後の1991年に白紙撤回。その後、2015年に地下鉄東西線がようやく八木山までは開通した。車がないと不便な立地だが、高速道路のインターには近い。

1982年の分譲開始から34年経った団地も、中心部のスーパーは年末の活気にあふれていた。当時の入居者は高齢化していると思うが、震災のあとに沿岸部からの移住者が増えたのだろう。

林道佐保山線からアプローチ

茂庭台団地の北側から、林道佐保山線経由で登山口に向かってみた。林道は東側の「自然観察の森」など、各方面に通じている。

太白山に続く林道の入口

近頃の仙台は住宅街に熊が出る。最近も青葉区と泉区で住民が襲われたというニュースを聞いた。太白山のまわりでも、クマ出没の注意書きを見かけた。

クマ出没注意の看板

このエリアはもともと私有地で、地主さんの好意により一般開放されている。散歩で歩く人も多いためか、林道はよく整備されていた。いくつか分岐点もあるが、案内板があるので迷うことはない。

太白山の歴史

(クリックで拡大)

ここは歴史的にかなり古く、源頼朝が奥州藤原氏を滅ぼした際、配下の武将に与えた土地らしい。山の中腹にある八幡神社の由来も書かれている。

山頂付近は鎖場の急勾配

登山道を進むと途中で神社の鳥居が見えてくる。ここから先はゆるい勾配の石段が続く。

太白山の鳥居

中腹の平地に神楽殿がある。市指定の「生出森八幡神楽」は、今でも無形民俗文化財としては伝承されているらしい。

太白山の神楽殿

神楽殿を過ぎると徐々に傾斜がきつくなり、ここにも「熊出没注意」のメッセージがあった。あいにく熊鈴を持ち合わせていなかったので、用心のためスマホのスピーカーから音楽を流しながら歩いた。

道の途中では、震災で崩れた石垣や階段がそのまま放置されている。復興奉賛金を募る看板をいくつか見かけた。

太白山の鎖場

登山道の終盤は山の外観どおり、勾配のきつい鎖場になる。100m程度の区間だが、崖のような急斜面で鎖が手放せない。真冬なのに汗をかくくらいの運動になった。

太白山の山頂

山頂はごつごつとした岩場で、その中にひっそりと社が建っている。石碑は地震で倒れたのか、割れてそのままになっていた。修理するにしても、この場所までやって来て作業するのは大変だろう。

太白山の山頂からの眺め

まわりの木々が落葉していたおかげで、遠くの景色もよく見えた。300m程度の標高ながら、空気の澄んでいれば松島の島々、石巻から牡鹿半島のあたりまでうっすら望むことができる。

地元のトレイルランナーさん

山頂から戻る途中、ストックを装備した人が早いペースで登ってきた。すぐにまた降りて来られたので、少し雑談しながら一緒に鎖場を下った。

聞けば同じくトレイルランナーらしく、今年のハセツネにも参加されたようだ。しかもハセツネは計7回、キタタン、富士登山競走にも出ているベテランの方だった。仙台から大田原、つくばあたりのマラソン大会なら日帰りで参加できるらしい。

年の暮れの寒い時期に、わざわざこんなきつい山頂まで登りに来る人はただ者でなかった。市街地に近く、日頃のトレーニングには便利な山なのかもしれない。

ヤマレコを見ると、元旦の暗いうちから太白山に登って初日の出を迎える人もいるようだ。短い距離とはいえ、ライトを照らしながらあの鎖場を登るのはかなりの難作業だと思う。