スポーツ用スマートグラスRecon JETレビュー(ロードバイク編)

ウェアラブル端末のRecon Jetレビュー。基本機能のレビューとランニングで使ってみた感想はこちら。今回はロードバイクで、Recon Jetを装着しながら多摩川サイクリングロードを40kmくらい走ってみた。

Recon JETのアクティビティー記録

普通にサイコンを見た方が便利

テスト中、本体のバッテリーを節約するため、画面の明るさはあえて最低値に設定した。

レンズをサングラスに替えても表示が薄めになってしまったが、自転車では長時間利用が前提なので仕方ない。先にランニングで試した感じでは、最低輝度でも常時点灯では1時間強で消耗してしまう。念のためGlance Detectionも有効化しておいた。

走行中、少し目線を下げるとゴーグル画面でスピードや距離など知ることができる。目の動きとしては、ハンドルまわりに取り付けているサイクルコンピュータやスマホを見るのとたいして変わらない。

カーナビやサイコンに比べて、「HMDやHUDは運転中に視点を動かさなくていいから安全」と言われることがある。しかし実際に使ってみると、画面を注視する間はピントが外れるので、どうしても前方確認がおろそかになってしまう。

しかもRecon Jetは片目で利用するため、数字を読み取るのに時間がかかる。Google Glassも含めた単眼型HMDに共通の問題として、「片目で物を見る」という動作に人間は慣れていないようだ。普通に下を向いて両目でサイコン画面をチェックする方が、ずっと楽で安全に思われた。

後方確認しにくくなる問題

さらにRecon JETの致命的なデメリットとして、視界右下がディスプレイでふさがれてしまうため、右側の後方確認がやりにくくなってしまう。グラスはシースルー表示でないため、どうしても視界に死角ができてしまう。

サイクリングロードならまだしも、公道で右うしろが見にくいのは相当なストレスだ。走行中は何度も振り返ったり、わざわざメガネをずらして後方確認するようになってしまった。

もしかすると、Recon JETは右側通行のアメリカでの使用を前提としてデザインされたのかもしれない。処理ユニットとバッテリーを入れ替えて、左右反転できる構造にもなっていない。これは日本やイギリスなど左側通行の国で使う上では、致命的な設計ミスとも考えられる。

スリープさせればバッテリーは長持ちする

結局ツーリング中は途中でわずらわしくなり、ほとんど画面を見ることもなくなってしまった。やや重量はあるが、高価なサングラスとしては十分役に立つ。

画面を注視しない間はGlace Detectionが効いて、ほぼスリープ・消灯状態だったらしい。2時間弱使った後でも、バッテリーは半分くらい残っていた。ただしその間も、GPSによる走行ルートと距離はランニングのときと同様、正確にとれていた。

Recon JETのアクティビティー画面

PC・ブラウザ上から詳細設定可能

Recon JETはスマホだけでなくPCからも設定できる。専用アプリをインストールしてブラウザ起動、ログインするとダッシュボード画面が表示される。

ブラック基調のインターフェイスがやけにカッコいい。Recon JETはデバイスのデザインも含めて、Apple製品並みにUXが洗練されていると思う。

Recon JETのダッシュボード画面

デバイス側のメモリ容量は限られているが、事前にマップを転送してオフラインで確認できるという高機能がそなわっている。

Recon JETのダッシュボード画面
ゴーグル画面に表示する、速度や距離などの情報もカスタマイズできる。このあたりは高機能なサイクルコンピューターとよく似た使い勝手だ。

Recon JETのダッシュボード画面
Facebookと連動してアクティビティーをシェアすることもできる。ちょっと走ると「記録更新。おめでとう」的なメッセージが届くのは、Fitbitのようなエクササイズ系アプリと同じだ。

Recon JETアプリの走行記録

ここまでソフトを作り込んでいるなら、信号停止時のオートストップや、走行記録をシェアする際、自宅の位置をぼかせるプライバシー機能もあればよかったと思う。その点はStravaのようなスマホアプリの方が進んでいる。

話のネタとしてはあり

Recon JETをランニングで使った印象はそこまで悪くなかったが、自転車での利用はかなり課題が多いと感じた。ケイデンスセンサーやパワーメーターとも連動できる可能性はあるが、競合するサイクルコンピューターの市場に食い込むのは容易でないだろう。

とにかく後方確認のやりづらさが気になるので、まずはディスプレイをシースルー化するか、左右交換できるように改良してもらいたい。機能拡張より先に、基本的な安全性を確保する必要がある。

とはいえ、ロードバイクのユーザーはランナーに比べると機材にお金をかける傾向がある。ホビーライダーでも10万以上するスペアのホイールを持っていたりする世界なので、新し物好きには受け入れられるだろう。

GPSロガーと考えれば、Recon JETは十分実用的。既存製品に比べれば高級感があり、ルックスも悪くない。仲間内での話のネタに、5万以下に値下がりしたら買ってもいいという人も出てきそうだ。

練習してGlace Detectionやホットスワップを使いこなせるようになれば、もっと便利になる可能性はある。ハンドルまわりのガジェットを減らして、ゴーグルに表示機能を集約する意味では、若干の空気抵抗削減も期待できそうだ。

プロレベルの人が本気で使いこなせば、Recon JETは真価を発揮するアイテムなのかもしれない。