折りたたみ小径車ダホンK3で奥多摩の激坂、風張林道を上る実験

先日の風張峠ツーリングで、ダホンK3が峠も上れるマシンであることはわかった。Vブレーキでしっかり減速すれば、長い下り坂でも不安を感じなかった。

奥多摩周遊道路は最高地点で標高1,000m以上ある峠道だが、路面はきわめて良好に整備されている。局所的な急勾配もないので、淡々とペダルを回せば小径車でも足を着かず完走するのは難しくない。

それではK3でどの程度の斜度までこなすことができるのだろうか。風張峠でもローギアで部分的に立ち漕ぎしないと前に進めない感じだった。斜度20%以上あるような、いわゆる激坂クラスの難所でK3がどこまで通用するのか試してみたい。

風張林道のダホンK3

とりあえず前回と同じ峠を目指して、今度は風張林道の方から上ってみた。

ビンディングペダルのカーボンロードなら、昔は足を着かずにクリアできた坂。ミニベロではどんな感じになるのだろうか。

檜原村の公衆トイレがリニューアル

武蔵五日市駅から檜原村役場に向かう途中、しばらく工事中だったトイレが完成していた。

檜原村の公衆トイレがリニューアル

入母屋造りの豪華な外観に変わり、雨宿りできる休憩スペースまで付いている。トイレ内も木の香りが芳しく癒される空間なので、特に用はなくても立ち寄りたくなる。

サドルにやさしそうな木製のバイクラックも完備されているが、ハンドル上のアクセサリーが引っかかって入れるのに苦労した。ステムの長いロードバイクだと収まらない恐れがある。

林道入口までは快適な山道

橘橋のT字路を右手に進むのは久々。自転車に乗ってこちらに向かう人は、風張林道か鋸山林道を目指す物好きな人たちだ(※鋸山林道は2019年11月29日まで木材搬出のため通行止め)。

檜原村の橘橋交差点

観光名所の払沢の滝を過ぎれば閑散とした山道で、都民の森に向かう道路よりずっと交通量が少ない。林道入口までは快適に走れる区間である。

風張林道に向かう途中の道

北秋川の合流地点、 T字路を過ぎたあたりから、徐々に道がさびれて勾配もきつくなる。K3ではすでにここからローギア・ダンシング解放しなければ進めなかった。

風張林道の入口

そして風張林道入口の転回場所で一休み。連休中とあって、ロードバイクの方も3名ほどいらっしゃった。どれだけこの坂がきついか談笑したあと、少し助走してから激坂に挑む。

きのこセンター前で足つき

最初に木陰の中を進む区間で、すでに立ち漕ぎ全開だった。風張峠では部分的に2速に戻す場面もあったが、林道の方では始終1速しか使わない。道中4か所ほど勾配がゆるんで休める区間を除いては、ずっとダンシングの姿勢だった。

時速5~6kmで、傾斜がきついところはジグザグに蛇行しないとこなせない。落石や落ち葉もあるし、途中で車とバイクが2台ずつ下りてきたので脇に避けるのが必死だった。

一瞬右手の見晴らしがよくなり、ヘアピンカーブを抜けた先が、体感的にもっともきつい区間。どうあがいてもペダルが重すぎて回せず、道路をほぼ斜めに行ったり来たり。とうとう耐えきれず前輪が下り側を向いてしまい、足を着いた。

風張林道のきのこセンター前

記録としては、檜原きのこセンターよりもっと手前。グレーの廃車が横たわっているあたりでリタイアした。この先まだ100mくらいは地獄のような直登が続く。今の体力ではここまでが限界だ。

立ち漕ぎしすぎて腰にくる

今回はフラットペダルで足は固定されていなかったので、速度が落ちても転倒する危険はない。このクラスの激坂だとビンディングの引き足は必須と思っていたが、フラットでも案外通用するようだ。

ただ、ギアの重さだけはいかんともしがたい。体重を乗せるだけでは足りないので、ハンドルを腕で引く反作用でペダルを押さえつける。ジムにあるアークトレーナーやステアクライマーといった有酸素運動マシンの負荷を思い切り上げて、全身の筋肉を使って踏み込む感じだ。

高強度の立ち漕ぎを長時間続けていると、局所的に腰が痛くなる。筋肉的な疲労というより、炎症になりそうなヤバい痛みだ。無理すれば確実に腰を痛める気配だったので、安全のため一休みすることにした。

ポジションを変えて疲労分散

ここから先、バイクを押して上るのもありだったが、きのこセンターまでの難所を越えればやや勾配がゆるくなる。

冷静に考えると、耐えきれなかったのは傾斜というより腰の痛みだ。バイク自体は前輪も浮かず、後輪も砂利で滑らず安定感があった。小径車だが太めのタイヤでグリップはしっかり効いている。

落ち着いて自転車に乗り直し、今度は腰の疲労を分散させる作戦をとってみた。もはや固定ギア状態なので、あとは体でカバーするしかない。

ペダルを踏む力は弱まるが、ハンドルの上で腕を伸ばして背伸びするような姿勢を取ると、背筋を使う位置を少しずらせる。前のめりに背中を丸めてガシガシ踏む体制と、棒のように背伸びして足だけ回す姿勢をローテーションしたら、やや腰が楽になった。

足つき後の再挑戦で何とかきのこセンターに達した後、ようやく最初の休憩を取れた。久々にサドルに腰を下ろして腰を休ませたあと、集落を抜けて林の中の急勾配ゾーンに突入する。何度か腰にこたえる場面があったが、ほんの少し休めるポイントでリカバリーしつつ最後まで乗り切れた。

風張林道のゲート

バーエンドバーを付けた以外はデフォルト仕様のでダホンK3で、風張林道ヒルクライムは失敗。一度足を着いてしまったが、それ以降はノンストップで上り切れた。

ハンドル回転とグリップの問題

始終立ち漕ぎでハンドルに負荷がかかったのか、途中からステムのクリップ部が回転して前下がりになってしまっていた。運転中にハンドルが外れることはなさそうだが、強度的に不安な部分といえる。

ダホンK3のハンドルが勝手に回る

また、今回はうっかりバイク用のグローブを忘れてきてしまった。バーテープもグリップも付けてない金属製のバーエンドは細すぎ、素手で握ると汗で滑ってしまう。

K3初期装備のEVAグリップは性能がいまいちなのか、帰ってみると手の平が赤くなっていた。この軽量グリップでロングライドするなら、パッド付きのサイクルグローブは必須だ。

ダウンヒルは問題ない

風張林道でガードレールのない区間をミニベロで走るのは、見た目的に少々危なっかしい。しかし相変わらずダホンVブレーキの効きは良好で、じわじわ減速しつつ下れば不安はまったくない。

路面の尖った落石に気を付けつつ、安心した急坂も下れた。ブレーキをかけすぎると、前輪のリムから異音がするは少し不安。ブレーキシューはまだ十分残っているが、雨でぬれたときも同じく甲高い音がする。

K3にはスタンドを付けているので、道端のきわどい場所に自立させて写真を撮ることができる。

風張林道のダホンK3

室内に運ぶ際よく足をぶつけるので、金属製スタンドは危ない面もある。重量も増えてしまうが、駐輪場でも路上でも好きなところにバイクを置いて写真撮影できるのは大きなメリットといえる。

決定的にギアが足りない

予想どおり、K3で激坂を上る最大の問題点はギアの少なさだった。ロードバイクでロー側にギア2~3枚残したまま、無理やり立ち漕ぎで上るイメージに近い。ゴールのゲートまで45分間、99%は完全にダンシングだった。

風張林道の見晴らしがよい区間

しかしながら先日風張峠を上ったときと同様、ギアが足りない以外はミニベロでもロードとたいして変わらない気がする。体がつらいのは一緒で、ホイールが小さいから特に不安定ということもない。車体が軽い面ではむしろ登坂に有利だと思う。

マウンテンバイクくらい軽いギアを積めば、どんな自転車でも淡々と坂を上っていけるのだろう。重いギアを無理に立ち漕ぎで回そうとしたことで、腰に負担がかかりすぎたのが敗因といえる。

似たような激坂で「子の権現」くらい短い区間だったらクリアできそうだ。風張林道の全行程となると、さすがに体がもたない。ラピュタ坂や御岳山もおそらく厳しいと思う。

激坂は無理だが普通の峠は上れる

一度足を着いたが、K3で激坂を上るのは不可能でない。ただし立ち漕ぎしすぎて腰を痛める恐れがあるので、あまりおすすめはしない。限界に挑戦するスリルは味わえるが、体に良くない趣味だ。トレーニング上も特に有効とは思えない。

逆にここまでの急勾配でないたいていの峠なら、時間をかけて走破できそうに感じた。ときどきサドルに腰を下ろせる休憩スポットさえあれば、K3でも体力回復しつつじわじわ上れると思う。