ダホンK3で箱根一泊輪行。立ち漕ぎで標高1,000mの大涌谷まで

7.8kgの軽量小径車、ダホンK3の本懐である輪行旅行を試してみた。先日の奥多摩テストライドで(がんばれば)峠も上れる万能マシンとわかった。そこで遠征先として選んだのは箱根。

1日目は小田原から旧東海道を上り、仙石原まで回って強羅で宿泊。2日目は大涌谷を目指し、芦ノ湖周遊、国道1号の最高地点を通過し、そのまま現国道を湯本まで下るコースを計画した。

八王子~小田原の区間は、町田経由でJRと小田急線を乗り換え輪行した。橋本経由で相模線を利用するルートもあったが、所要時間・運賃とも小田急線を利用した方が早かった。

小径車で輪行、食事を楽しむ

いくら折りたたみ極小サイズのK3でも、電車に持ち込んでも迷惑でないとはいえない。また諸々の装備を含めると10kg程度の重量になってしまうので、持ち運びや乗り換えは最小限に済ませたい。

そこで自宅から八王子までは自走し、電車の乗り換え回数を減らすことにした。車が多く、自転車で走っても楽しくないルートは電車でスキップする作戦だ。

ラッシュの時間帯を外し、町田から小田急線の快速下りに乗ると、最後尾車両は計算通りがらがらだった。秦野を過ぎると、もう乗っているのは自分ひとりしかいない。

小田急線車両内のダホンK3

昼前に小田原に着いたので、駅前のファミレスで早めに腹ごしらえした。バイクの置き場に困ったが、ほこりを払って向かいの座席に置かせてもらうと一番邪魔にならないと気づいた。

ファミレスでミニベロとランチ

K3ならちょっとしたスーツケースサイズなので、飲食店でこんな置き方もできる。自宅で愛車を眺めながら酒を飲むだけでなく、こうして食事も一緒にできるのはすばらしい。ミニベロがあれば、ひとり旅でも寂しくない。

車を避け旧街道ヒルクライム

駅前の広場でそそくさとバイクを組み立て、駅前の商店街や小田原城の付近を散策。小径車なら人混みの中や公園内に持ち込んでも、ロードバイクほど大げさでなく迷惑がかからない。

小田原城前のダホンK3

小田原駅から湯本までの区間、平日でもそこそこの交通量があった。現道と旧道のどちらを上るか特に決めていなかったが、車を避けて今回は旧街道を上ることにした。箱根湯本の駅前で、三枚橋の交差点を左折し、川を渡る。

温泉街、星野リゾート界を越え、箱根大天狗山神社の鳥居があるコーナーから本格的な上りが始まる。つづら折りの左カーブは傾斜がきついが、車が通るためアウト側にふくらむコースは取れない。

箱根の旧東海道

現在の東海道より交通量が少ないとはいえ、バスも行き来する道なので注意が必要だ。芦ノ湖付近もひっきりなしに観光バスが往来するので、決して自転車にやさしいエリアとはいえない。

七曲がりは立ち漕ぎ半々でこなせる

ミニベロなら坂を上っている途中でも、気軽にバイクをとめて写真撮影できる。今までロードバイクでは、ビンディングを外すのが面倒で素通りしていたスポットをいくつも確認できた。

七曲がり標識前のダホンK3

有名な七曲りの区間は勾配10.1%の表示。ここは気合を入れて一気に上がってみた。

交互に勾配のきつい左コーナーが現れ体力を削られるが、一昨日の風張林道に比べればたいしたことはない。旧道のヒルクライム区間はギア1速べったりでも、ダンシングを要した区間は半々程度だった。

お玉ヶ池~強羅

坂を上り切ると、お玉ヶ池という名所が迎えてくれる。眺めはいいが由来を読むと、奉公先から逃げた少女を処刑したという不吉な池だった。

お玉ヶ池前のダホンK3

そこから現在の国道1号と合流して、湖沿いの県道75号を走る間、次第に雨が降って来た。寒さに耐えきれず、桃源台の観光船港で雨宿り。箱根の高原は5月でも気温10度前後で、サイクリングには冬装備が必要だとわかった。

仙石原を抜けて、ガラスの森美術館を鑑賞しつつ食料補給。国道138号を若干下り、強羅駅に向けて上り返し。箱根界隈はどこを走っても坂しかない。駅前には瞬間的な激坂も出現し、K3ではとても上れなかった。

強羅駅前の激坂

熱海や湯河原と同じで山岳地帯を無理やり開発したせいか、いたるところに信じられない勾配の坂がある。車がなければ、とても暮らせる気がしない保養地だ。

K3は宿での保管も便利

宿に泊まる際は、邪魔にならないよう軒先に折りたたんでおいた。このサイズなら迷惑にならなかったのか、後ほど相談して防犯上安全な玄関内で保管してもらえた。

宿の玄関先に置いたダホンK3

その気になれば、輪行袋に入れてホテルの部屋に運び込むのも不可能ではないだろう。ロードバイクと比べて宿泊先での管理も容易なのが、小径車のうれしいところだ。

仙石原~大涌谷

2日目は晴天にめぐまれたので、ポーラ美術館を鑑賞後、昨日はずぶ濡れで絵にならなかった仙石原で再撮影。

仙石原前のダホンK3

名物のススキが茂っていない季節は、単なる牧場のように見える。写真で見た印象からすると大草原のように思っていたが、切り取る構図によるらしい。そういう微妙なスケール感は、鳥取砂丘とよく似ている。

1号線ヒルクライムの目標となる箱根峠は標高846mだが、さらに上を目指せば1,044mの大涌谷まで上れる。芦ノ湖川からアプローチしてみたところ、約3kmと距離は短いが250mほど上る、なかなかの坂だった。特に終盤のT字路を過ぎてからは、まったく休めるポイントがない。

大涌谷前のダホンK3

大涌谷は2015年に火山活動が活性化して以来、遊歩道は立入禁止になっている。少々残念だが、遠くからでも火山の雰囲気や硫黄の臭いは感じられる。名物の黒たまごも売店で売られているので、観光的には特に問題ない。

黒たまごは補給食に不向き

問題があるとすれば、どのお店でも黒たまごは5個セット500円でしか販売されていない点だ。昨晩、宿のバーで話していた外国人が、しきりに「Black EggがFive!」と言っていたのはこのことだったのか。

大涌谷の黒たまご

今どきの箱根の強羅~二ノ平エリアでは、ほとんど外国人の観光客しか見かけなかった。日本人はよほど卵好きだと思われていることだろう。ヒルクライム後のエナジー補給とはいえ、さすがに滋養のありそうな黒たまご5個は食べ切れない。

同じく困っている若いカップルがいたので、料金シェアして2個だけいただいた。殻が黒くて少し温泉の香りがする以外、中身は普通のゆで卵と変わらない。そしてサイクリング中のゆで卵は胸やけがして、あまり補給に適さないとわかった。

箱根神社~芦ノ湖

その後は芦ノ湖に下りて、箱根神社や関所のあたりを周遊。湖に突き出た鳥居の前では、写真撮影のために恐ろしい行列ができていた。順番待ちで軽く30分はかかりそうだ。

箱根神社の鳥居

神社の近くから湖沿いにサイクリングロードが設けられているが、港の付近は人通りが多く、自転車に乗ったまま走れない。眺めはいいので、低速でポタリングするには絶好のコースだ。

芦ノ湖のサイクリングロード

駅伝広場、関所のあたりで折り返し、湖周辺の探索は終了。箱根の山の上にはコンビニが充実しており、たいてい24時間営業なので補給には困らない。一休みして旧道を下るのもありだったが、いちおう国道1号の最高地点もチェックしておこうと思い、現道の方に向かった。

国道1号最高地点

湖からちょっと坂を上って、精進池を過ぎたあたりに目的のスポットがある。標高874mで、国道1号でもっとも標高が高い地点だ。とはいえ、看板以外には特に何もなく眺めがよいわけでもない。歩道に自転車をとめて写真撮影を済ませたら、あとはひたすら小田原に向けて坂を下る。

国道1号最高地点のダホンK3

現在の東海道は、宮ノ下あたりから交通量がどっと増えた。路肩も狭いので、こちらから自転車で上るのはおすすめしない。勾配はきつくても旧道を上った方が安全だ。途中にある富士屋ホテルは改修工事中だった。

日暮れ前に小田原に到着し、K3をパッキングして輪行で帰る。時間的に町田~八王子間の下りは、やや通勤ラッシュと重なってしまった。それでも先頭車両の広いスペースなら、なんとかバイクを置かせてもらえる。もしこれがロードバイクだったら、乗客が減るまで時間を潰すか、自走で帰ったと思う。

ロードより観光を楽しめる小径車

はじめて手に入れた小径車、ダホンK3での輪行一泊旅行。今までロードバイクで箱根に来たときは、現道・旧道を上っても関所のあたりで休憩してすぐ帰る感じだった。

強羅で一泊すると、仙石原や大涌谷まで足を伸ばせて観光名所を周回できる。スタンド付きのミニベロなので、気軽にバイクをとめて撮影できるメリットを実感した。

箱根関所前のダホンK3

一方で、車体は軽いが防寒用のウェアや装備でバックパックが重くなってしまった。いつもより肩がこった気がするので、ロングライドや登坂も含めるならバイクパッキングを検討した方がいいかもしれない。輪行となると、どうしても手ぶら旅行より荷物が増えてしまうのが難点だ。

ロードとK3の輪行を比べて、バイクの分解・組み立て時間、電車に乗る際の心理的・身体的負担は明らかに減らすことができた。14インチの折りたたみに慣れると、もう700Cで輪行できる気がしない。特に航空輸送も含めての輪行だと、小径車の方がハードルはぐっと下がる。

登坂性能とダウンヒルのスピードはロードに劣るが、観光メインの旅行に持って行くならK3がベターだと思った。ロードバイクで旅行すると、気分的には各地の峠を走破するトレーニングが目的になってしまう。今回のように、近隣の観光スポットをくまなく回るような使い方であれば、機動性の高いミニベロの方が便利だ。