定価12万円台の20インチ小径車選び。KHS・DAHON試乗レビュー

引っ越しを機に、普段の買物用に使っているスチール製ロードバイクを買い替えることにした。

ロードバイクでの輪行は毎回苦労したので、今度は取り回しが楽そうな折りたたみ式のミニベロを選ぶことにした。700Cより小さい小径車を買うのは初めてだ。

走行性重視のスピード系ミニベロといえば、10万以上のハイエンド機がいくつも出ている。モールトンやタイレルの高級商品を始め、「折りたためない」小径車も含めればジャイアントやラレーも参入して無数の選択肢がある。

予算はざっくり10万程度という前提で、20インチの小径車をいくつか試乗させてもらった。その中で特に印象が良かったKHSとダホンのバイクを紹介したいと思う。

予算10万のミニベロ選び

自転車は室内保管のカーボンロード(アンカーRFX8)と、街乗り用スチールバイクを2台使い分けている。後者はマンションの駐輪場に置いているため、10年も経つと傷みが激しくなってきた。鉄製のフレーム自体はまだ持ちそうだが、パーツやホイールの錆が著しい。

古いバイクは中古で売れる見込みもなく、特殊な改造を施しているので、他の人に譲るのも少々面倒くさい。試しに自治体の清掃センターに持って行くと、重量計算してわずか200円で引き取ってもらえた。自転車の処分は家電や粗大ごみ並みに費用がかかると覚悟していたが、拍子抜けだった。

次に購入したい自転車の候補は、場所を取らないミニベロで予算10万程度。マンションの駐輪場に置くことを考えると防犯上の懸念もある。しっかり施錠するとしても、屋外保管の自転車にかけられる金額はそのくらいが限度だ。

シングルスピードは坂道で苦労したので、今度はギア付きでそこそこ走れるバイクを選びたい。主に買物用とはいえ、10~20km走って高尾山や御岳山の登山口までアプローチすることもある。

KHSのF/Pシリーズ

まずは価格とスペックのバランスがよさそうな、KHSの車種を調べてみた。フォールディングのFシリーズだと、6万円台のフラットハンドルモデルから17万のカーボンフォークまでラインナップされている。

KHSのF-20G以上は、最初からドロップハンドルやブルホーンが付いているのがうれしい。ロングライドを考えると、ハンドルの握る部分は内側に向いていた方が楽だ。

一方で折りたたみできないパッケージバイク(Pシリーズ)にも魅力がある。前輪を外してダウンチューブに固定すると、輪行時は薄くて細長い形状になる。梱包体積を比べると、実はフォールディングモデルより小さくなるとわかった。

フレームの剛性向上と軽量化のメリットを考えるとPシリーズも悪くない。ただし商品数は折りたたみモデルより少なく、10万以下の廉価帯には1種類しか存在しない。

KHSのF-20RC

まずはフォールディングの最高機種、F-20RCに試乗させてもらった。率直な感想としては、普段乗っているロードバイクとほとんど変わらない乗り心地。折りたたみ式でない同クラスのP-20RCにも乗らせてもらったが、フレーム剛性や重量差は微々たるものに感じた。

KHS F-20RC

ソフトテールという独自のクッション機構が効いているのか、ホイールが小さくても路面の凹凸で跳ねるような不快感はない。ペダルを踏めばグイグイ進み、30km/h以上で巡航もできる。

KHSのソフトテール

変速系はシマノTiagraとMicroshiftの混合だが、世代を経てグレードアップしているのか、手持ちの旧型105コンポより見劣りすることはなかった。素人レベルでは105とTiagraの違いなど、そうそうわかるものでもないのだろう。

バーコンが意外と使いにくかった

強いて欠点を上げるとしたら、ブルホーンの先端に付いているバーエンドコントロールが思ったより使いにくかった。

特に右手の握力が弱いせいか、リア側のレバーを内側/外側に倒すのに一苦労。ギアを変える際はクリック感のあるインデックスタイプで、調整がきつめなのかレバー操作が固く感じた。

KHSのバーエンドコントロール

シフト機構に関しては、ロードのドロップハンドルに付いているSITレバーの方が格段に便利だ。ブラケットを握った位置のまま変速できるし、レバーを押し込む際の抵抗も少ない。トライアスロンのレースでよく見かける「ブルホーン+バーコン」のシンプルな組み合わせに憧れていたが、デュアルコントロールレバーの良さを改めて実感することができた。

ただし、折りたたみを前提とした車種はフラットハンドルが多く、最初からブルホーンを搭載したKHSの上位車種は例外というイメージ。STIは使いたいが、小径車にサイズの大きいドロップハンドルはそぐわないのだろう。

KHSのバイクはチタン色が魅力

KHSのバイクが素敵に見えるのは、「フレームカラーがチタン色」というせいもある。実際にP-20RTIというチタン製のフレームも販売されているが、定価28万とさすがに小径車でもカーボンロード並みの高価格。

その代りP-20RAC、P-20RC、F-20RC、F-20Rの高級機は、アルミ・クロモリ素材のフレームでも見た目はチタンライクな鈍いシルバーで塗装されている。

性能や実用性はともかく、チタンという素材に魅かれるユーザー層がいるのも事実。KHSのカラーリングによる商品の差別化は的を射ている。

ダホンのVisc EVO

次にダホンの上位車種、Visc EVOに試乗させてもらった。定価12.7万の折りたたみ20インチで、同社のスピード系ミニベロとしては代表的なモデルだ。

Dahon Visc EVO

こちらはハンドルがフラットバーで、TiagraのSL-4700というシフターが両側についている。見た目はバーコンの方がカッコいいと思っていたが、実用性はこのラピットファイヤープラスが上だった。指先の軽い力でスパスパ変速が決まる。

Tiagra SL-4700

Visc EVOも乗った感じはKHSと遜色ない。ギアはフロントダブルで20段あり、平地も坂道も走破できる。ここまで高性能なミニベロなら、街乗りだけではオーバースペック。ロードバイクに替えて、ヒルクライムやロングライドも楽々こなせると思う。

ダホンのDash Altena

さらにダホンのDash Altenaにも試乗させてもらった。こちらは2019年モデルで唯一のドロップハンドル仕様。Lock JAWという隠し折りたたみ機構が仕込まれており、典型的なダイヤモンドフレームなのにフォールディングという変わり種だ。

Dahon Dash Altena

いくつか試した小径車の中で、やはりアルテナのSTIレバーは変速に有利だった。コンポのグレードはClarisなので、105よりブラケットがゴツゴツして変速はもっさりした印象がある。しかし折りたたみなのに理想的なフレーム形状を実現しているためか、走行性はVisc EVOやKHSの高級機に劣らない感じがした。

ダッシュアルテナは定価12.8万でVisc EVOと同程度。KHSならF-20RSくらいの価格だ。小径車でも12万以上のモデルを選べば、ロードに匹敵するすばらしい性能(しかも折りたためる)が手に入るとわかった。

折りたたんでもそこまで小さくない

しかしながら、20インチのフォールディングバイクは折りたたんだサイズが普通のロードバイクとそう変わらないように思われた。小さいことには小さいが、見た目的に半分以下ということはない。

カーボンロードに比べれば重量も大差なく、畳んだ分どうしても幅や厚みが出てしまう。特にダッシュアルテナは、ロックジョーかつドロップハンドルという仕様のため、折りたたみ寸法がダホンの中では最も大きい。

輪行の都合を考えると、KHSのパッケージバイクが意外と便利そうに思われた。フォールディング機構がない分、重量は軽く、縦長形状を生かして背中にかつげる専用バッグまで販売されている。

基本的な走行性能と輪行時の可搬性を両立するのは難しい。ホイールサイズが一回り小さくてもロードと同等に走り、分解してもサイズがそこまで変わらないなら、あえて小径車を選ぶ必要がない気もしてきた。価格やパーツの互換性など、普及している700C規格ならではのメリットもある。

ロードバイクとかぶるジレンマ

試乗した状況はいずれも距離にして約1km、10分程度にすぎない。短い距離では、いずれの車種も手持ちのカーボンロードとほとんど変わらない走行性能に驚いた。新車に乗らせてもらって興奮しているせいもあるが、値段相応に乗り心地は最適化されているように思う。

100km超のロングライドや本格的なヒルクライムで比較すると、ホイールサイズや振動吸収性の違いが如実に出てくる可能性もある。これ以上は実際に買って乗り回してみないとわからないレベルの話だ。

何となくこれらの「良くできた小径車」を12万で買っても、使い方が手持ちのロードバイクとかぶってしまう懸念が出てきた。よくよく乗り比べてみると、105コンポ搭載のRFX8の方が、変速系やポジション選びに若干優れているように感じる(長年乗って慣れているせいもある)。

結構な金額を払って「ロードバイクの劣化版」を手に入れるよりは、街乗り用と割り切ったさらにコンパクトなモデルを買った方が有意義かもしれない。スピード系ミニベロは20インチが基本だが、それより小さいホイールの車種もある。

そして目についたのが、ダホンの2019年カタログ表紙に載っていたK3。14インチのスモールサイズながら、3段変速で意外とよく走るという評判だ。こちらも試乗させてもらったところ、想像以上のポテンシャルを感じたので、今回は結局K3を購入することにした。