フラットハンドルへのバーエンドバー取り付け位置は両端がベスト

ダホンK3のハンドルグリップを交換する前に、適当なバーエンドバーを取り付けてポジションの違いを確認してみた。

フラットハンドルにバーエンドを取り付ける場合、ブレーキの内側と外側のどちらに付けるかという問題がある。また、どのくらいの取り付け幅が最適なのかもわからない。さらにバーエンドとブレーキレバーの握り替えをスムーズに行えなければ、安全上の懸念が生じる。

毎回ブレーキレバーとシフターのネジを外す必要があり面倒だったが、フラットバーのいろんな位置に取り付けて使用感を比べてみた。一説には「ブレーキの内側が便利」と言われているが、個人的にはハンドル両端が無難に感じた。

将来的なブルホーンバーへの交換も見越して、試してみたポジションの違いをまとめてみようと思う。

ブレーキの内側にバーエンド設置

最初に試したのは、ブレーキレバーの位置を変えずにその内側にバーエンドをはめるポジション。バーの間隔(幅)は心々で約24cmになった。

ブレーキレバーの内側にバーエンドバー設置

この位置だとバーの握り方はTTバイクのエアロバーと似たスタイルになる。もう一台のロードバイクに付けているDEDAのカーボンブラストは心々9cmのコンパクトサイズ。幅24cmだとこれよりリラックスしたポジションになるが、長時間握ったまま走るのは難しい。

ブレーキ内側のバーエンドバーを握った状態

ちょうど廉価なクリップオンバーと同じで、手首を置くパッドがない分、安定性は劣るようだ。本格的なパッド付きエアロバーのように、腕を乗せて上半身を休められる効果もない。

バーエンドを握っている間はブレーキをかけられず、直進安定性の低いK3の場合はフラット部分への握り替えにも時間がかかる。一瞬でも手放し運転になるのが怖いので、片手ずつ安全確保してから持ち替えることになる。

ブレーキの外側にバーを付ける方法に比べて、手の移動距離・動線自体は短くなるかと思ったが、大差はなかった。バーエンドのブレーキ内側取り付けは、幅が狭くて不安定になるためおすすめできない。

たとえ取り付けても握れるチャンスがあるのは、せいぜい信号のないサイクリングロードの直線くらい。公道ではまず使えない。

ブルホーンハンドルのシミュレーション

次はブレーキとシフターを可能な限り内側に寄せた状態で、ハンドルの端を余らせたまま外側にバーエンドバーを設置してみた。右側のシフターから出ているケーブルがポストに接触し、ハンドルの中央部も直径が大きくなるため、これ以上内側に寄せることはできなかった。

ブレーキレバーの外側にバーエンドバー設置

バーエンドの幅は約38cm。あえてこの狭い間隔にセットしたのは、今後カスタムを検討しているブルホーンバーのシミュレーションも兼ねている。

K3のステムクリップと互換性がある25.4mm径のブルホーンバーのうち、購入候補のひとつ、日東B263AAまたはB263AA、ブラックカラーの最大幅は380mm(シルバーなら400mmもある)。別のロードに付いているドロップハンドルも380mmなので、個人的になじみのある寸法だ。

日東 B263AA ショートブルホンバー ブラックアルマイト 380mm

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上記のブルホーンバーはリーチが短いため、フラット部分にブレーキバーを取り付けるのが一般的なようだ。この方法だとハンドル外径が変わらず既存のレバー類を流用できるため、最小限の手間とコストでブルホーン化できるメリットがある。

ブルホーン+フラットバーブレーキ案

幅380mmバーの内側にブレーキをセットすると、思った以上に窮屈な感じになる。ブレーキレバーに指をかけてフラット部分を握ると、幅が足りず小指がはみ出してしまう。そして380mmの内側でハンドルを握るのは、エアロバーと似た感じで体勢が不安定すぎる。

バーエンドバーが邪魔でグリップを握れない

バーエンドバーからブレーキの握り替えも、手元が狭いため一苦労。ピスト系バイクで極端に幅の狭いハンドルを付けている人は、一体どうやってブレーキ制御しているのか不思議に思う。

小技として、ブルホーン部分を握ったまま親指でブレーキレバーを制御することもできる。しかし、レバーとバーエンドを同一平面状にセットすると両者の間隔が狭くなり、手の抜き差しに時間がかかる。バーエンドの角度を上向きにすれば隙間が広がって持ち替えしやすくなるが、そうするとバーエンドからレバーに指が届かないジレンマに陥る。

このまま余ったハンドルをカットすれば見た目はスリムになるが、実用面でこのポジションも難しいと思った。ブルホーンに換装するなら、ブレーキレバーはハンドル先端部に取り付けた方が安全だ。

フラットバーの外側にバーエンド設置

3つ目は素直に既存ハンドルの両端にバーエンドを付ける方法。バーエンド取り付け幅分、ブレーキレバーを内側に寄せて、後々既存のEVAグリップも差し込めるような位置にセットしてみた。

ハンドル両端にバーエンドバー設置

幅54cm離れたバーエンド部分を両手で握ると、今まで体験したことのないようなハンドルの持ち方になる。普通乗用車から大型トラックのハンドルに持ち替えたような感触だ。腕を開きすぎて不自然かと思ったが、慣れると案外悪くない。

ハンドル端のバーエンドバーを握る

肩を狭めるエアロバーの逆なので、前方投影面積は確実に増えるはずだ。しかしK3で高速走行するような場面はまずないので、空気抵抗増のデメリットは微々たるもの。むしろ思い切り胸を開ける分、呼吸しやすく感じた。

さすがに市販のブルホーンハンドルで、500mm以上の幅がある製品は見たことがない。長大フラットハンドルに大型バーエンドバーを付けたこのスタイルは、バイイオメカニクス的に案外合理的なのかもしれない。

ブレーキレバーとバーエンドの間には十分なクリアランスが取れているので、握り替えに支障はない。バーエンドを持った状態からブレーキをかけるのにワンテンポ遅れるが、フラット部分に手の平を載せて、そこを支点に手を回転させればスムーズだ。そのため、先に試した内側バーエンドより持ち替えやすいと感じた。

バーエンドバーからブレーキの持ち替え

今回試した中ではこれがベストなセッティング。唯一の問題点は、両端に突き出たバーエンドが服やカバンなど、いろいろなものに引っかかりやすいことだ。ロードバイクより車幅が広がるので、道端の障害物にぶつからないよう運転も慎重になる。

速度向上と身体負荷のトレードオフ

バーエンドバーの取り付け位置を試行錯誤して気づいたのだが、トライアスロンで使うエアロバーは必ずしもベストなソリューションでないかもしれない。空気抵抗は減らせるので高速域で速度向上の恩恵を受けられるが、どうしても上半身が窮屈な姿勢になる。

パッドに手首や肘を置いて、一時的に上半身を休められる効果もある。ただポジションを変えて疲労の蓄積を防ぐなら、ドロップハンドルの下側を持つ手もある。

身体的なパフォーマンスを最大化するには、ハンドル幅は適度に広い方が楽に呼吸でき、上体も起こした方が首に負担がかからずよさそうに思う。ロードからK3に乗り換えると、まるで左右分離型のエルゴノミックキーボードに交換したかのようにリラックスした姿勢をとれる。

エルゴノミックキーボードの違い

フラットバーのハンドルとは、まさにテンキーレスの省スペース型キーボードを操作している感覚だ。平面配置のキーボードの場合は、ハの字に開くのが身体的に楽なポジションになる。立体的に握る姿勢の自転車なら、ブレーキレバーをやや外側に向けたドロップハンドルかブルホーンがベストだろう。

コンパクトキーボードと同様、フラットバーは前後の出っ張りがないので折りたたみ収納に便利といえる。その反面、腕や手首の角度が不自然になるので、長時間の利用には適さない。

エアロバー不要説

超高速で走り続けるプロの世界では、身体面のデメリットより速度向上が優先されるかもしれない。一方で、せいぜい30km/h台で平地巡航するアマチュアレベルなら、楽なポジションを追求した方が全体的にパフォーマンスが上がりそうな気もする。特にトライアスロンのレースでは、バイク後のランパートに向けて体力温存するのも重要だ。

もしかすると民間人にとってのエアロバーとは、ビンディングペダルのような装飾品、一種のコスプレアイテムに過ぎないのかもしれない。せいぜい誤差の範囲のスピードアップを実現するために、乗り心地や安全性を大きく損なっている可能性がある。

前回出た徳之島トライアスロンでは、フラットペダルでもそこそこよいタイムは出せた。もしかするとエアロバーも外してシンプルにドロップハンドルでレースに臨んだ方が、姿勢が楽になり軽量化もできてプラスに働くかもしれない。

メーカーやメディアが次々打ち出してくる新技術は万人向けとは限らない。見た目のカッコよさからプロ用機材に憧れる気持ちはあるが、投資に見合う効果があるかどうかはまた別の問題だ。