JETFLYのリム穴偏心問題。チューブレスレディは消耗品コストが高い

NOVATECのJETFLYというチューブレスレディのホイールを買って、3年間チューブレスタイヤに乗ってきた。

しかし「ニップルホールに貼ったリムテープが陥没して空気が漏れる」という構造上の欠陥があることに気づいた。タイヤをメンテするたびにテープ貼り換えとシーラント交換が必要になり、維持費用がかさむ。

結局今はチューブを入れて、クリンチャー用のタイヤを履くようになった。皮肉なことに、チューブレスを使っていた頃よりパンク修理の回数が減った。JETFLYの問題点とチューブレス化のデメリットについて、ネガティブな側面をまとめてみようと思う。

チューブレスレディの注意点

JETFLYはチューブレス用ではなく「チューブレスレディ」。輸入元Action Sportsの製品紹介ページにも、以下のように注意点が明記されている。

  • シーラント剤の使用を前提としたチューブレス化が可能なリムです
  • チューブレスにてご使用の場合はチューブレス用のリムテープを別途ご用意ください

リムの内側にはタイヤのビードが収まる溝がしっかり掘られている。そこから側面がほぼ垂直に立ち上がっているので、構造的にはちゃんとチューブレス仕様になっている。

しかしリム内には普通にスポーク用の穴が開いている。ここをリムテープで塞がなければ、当然空気が漏れてしまう。

NOVATEC JETFLYホイールのリム内側

ニップルホールがずれている

問題はニップルホールのいくつかが、リム中央の溝からはみ出して段差の部分にかぶっているという点だ。溝に落としたビードをずり上げる際、リムテープを貼ってもこの穴から空気が漏れてしまう。シーラントの力で塞げそうなサイズの凹みでもない。

NOVATEC JETFLYホイールのリム内側

新品のリムテープを貼った直後なら、スポーク穴は平滑に塞がれているのでビードを上げることは可能。しかし数か月乗っていると、タイヤ内の空気圧でリムテープのニップル部分が陥没してくる。

見た目は「蚊に食われた跡」をひっくり返したような感じで、テープがぷくっと凹む。素材自体に多少の伸縮性はあるので、二重に貼っていれば貫通して穴が開くほどではない。

しかしリム内の段差が切り欠かれた感じになるので、一度ビードを落とすとここから空気が漏れて上がらなくなる。タイヤの修理や交換でビードを上げ直す際は、リムテープも貼り換えが必要になる。

リムテープが高い

リム穴の陥没対策として、定期的にテープを貼り直すコストは馬鹿にならない。使用が推奨されているのは、Stan’s NOTUBESの黄色いリムテープ。

表面がつるつるした少し厚みのあるテープで、質感としては「剥離紙を剥がす前の両面テープ」に似ている。マスキングテープよりは強度があり、ビニールテープより伸縮性は低い。

NOTUBEリムテープの問題点としては、チューブレス市場で同社が独占状態にあるのか、価格が高止まりしている点だ。JETFLYには21mm幅のテープが適合するが、10ヤード(約9.14メートル)で定価1,800円もする。

NoTubes YELLOW RIM TAPE 21mm幅/10Yd(約9.14m)(AS0030)

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ニップルホール陥没問題があるので、一回巻いただけでは強度が不安だ。700Cのホイールに二重巻きで前後輪合計4周すると、それだけでテープ一本分使い切ってしまう。

リムの穴が偏心したJETFLYに使う場合、黄色いリムテープは半年で寿命を迎える。次にビードを落としたタイミングでテープ交換も必須で、1回2千円弱かかる。

NOTUBESの純正テープを貼り換え続けるのは、どう見てもコスパが悪い。普通の環状リムテープなら、2本組みでも千円もかからず、数年は持つだろう。

シーラントも高い

新品テープを貼った場合でも、何らかの原因でビードが上がらないことがある。特にバルブの部分はテープを貼った後から穴を開けて貫通させるため、空気漏れの原因になりやすい。

代理店Action Sportsの説明どおり、JETFLYのビード上げにはシーラントも必要だ。そしてNOTUBESの製品なら2オンスの最小サイズで定価450円と、こちらもそこそこ値が張る。

NoTubes Tire Sealant /2 fl oz 1本(ST0033)

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ホイール2本に注入すると、ボトル1本分はすぐ使い切ってしまう。作業に失敗するたび、入れ直しが必要になるのも悩みの種だ。

シーラントにも寿命があり、半年も経つと水分と固形分が分離して役に立たなくなる。この状態でパンクしても、さらさらした水が出てくるだけで穴はふさがらない。タイヤを開けてみると、裏側にシーラントの残骸がへばりついていて、これを取り除くのも毎回苦労する

自転車専門店でもシーラントを在庫しているところは少ない。遠征先でトラブルが起こると通販で取り寄せるしかなく、たいへん手間がかかる。専用テープもシーラントも、ツーリング中に携帯したいようなサイズではない。

チューブレスのランニングコスト

シーラントを入れたチューブレスタイヤはパンクに強いといわれる。確かにピンが刺さった程度の穴なら自動的に修復され、乗っている間は気づかないこともある。微妙なサイズのパンクなら、だましだまし空気を入れつつ、圧力の下がった状態で乗り続けることもできる。

しかし落石やガラス片でタイヤが切り裂かれるようなパンクだと、さすがに新品状態のシーラントでも間に合わない。タイヤから爆音がして、すぐに走行不能になる。

チューブレスはクリンチャーよりバーストしにくいメリットがあるが、出先でのパンク修理が一切不要というわけではない。生還できる可能性は高いが、帰宅後はタイヤに開いた穴を修理することになる。

チューブレス用のタイヤはクリンチャーより高価なので、使い捨てというわけにはいかない。厚めのパッチを貼って、なるべく延命させたい。

チューブレスタイヤのパンク修理

そしてたいていの場合は、リムテープとシーラントもセットで交換することになる。テープの貼り直し、固着したシーラントの除去、原因不明でやり直しの可能性など含めると、チューブレスのタイヤ修理は時間がかかる。

一日がかりで作業してもビードが上がらず、あきらめてショップに持ち込んだこともある。そうなると消耗品の加えて作業工賃まで余計にかかる。クリンチャーに比べてチューブレスはランニングコストが高い。経済的な負担に加えて、精神的・時間的なストレスも大きい。

2-Way Fitの方が合理的

一般的なチューブレスレディのホイールが、みな同じような問題を抱えているのかはわからない。JETFLYの中でも個体差があるかもしれない。しかし似たようなトラブルで悩んでいる人はいるようで、ニップルホールにアルミ板を貼ったり、エポキシ樹脂で埋めるなどの改造例が紹介されている。

穴の数が多いので作業は面倒だし、ホイール外周の重量増やバランスも気になる。素人としてはあまりいじりたくない部分だ。

チューブレス化を前提とするなら、どう考えても中途半端な「レディ」ホイールより専用品の方が合理的に思われる。フルクラムの2-Way FitやシマノのWH-6800なら、最初からリムに穴がないので上記の懸念も生じない。

リムの穴を埋める金属の分だけ重くなるかもしれないが、「レディ」ホイールはチューブを入れるかどうかに関わらずリムテープが必要になる。仮に「チューブあり」で運用する場合でも、2-Way Fitならリムテープを省略できるというメリットがある。

NO TUBES, NO LIFE

JETFLYのホイールを買ってから、3年間はチューブレスで使ってきた。空気圧を下げられることによる「転がり抵抗」の低下はよくわからないが、乗り心地が柔らかくなるのは素人でも実感できた。

しかしその代償としてのコストは大きい。今は普通にプラスチック製のリムテープをはめて、チューブを入れた状態で乗っている。粘着式のテープに比べると、装着もメンテも圧倒的に楽だ。

リムテープ

クリンチャー用のタイヤは安くて種類豊富で、選ぶ楽しみがある。コンチネンタルの丈夫なタイヤに替えたら、チューブレスにしていたときよりパンク修理の回数は減った。

ブリジストンの自転車チューブ

チューブレスタイヤ良い経験になったが、ホビーライダーには扱いが難しかった気がする。作業に慣れることはできても、消耗品の費用負担がじわじわ効いてくる。

今思えば、チューブレスのブームとはメーカーやメディアが仕掛けたキャンペーンだったのではないかと思う。昨今流行りのディスクブレーキを見ていても、そんな気がする。

STAN’S NOTUBESにとっては、プリンターのトナーやインクを売るような、うまいビジネスモデルだったことだろう。