トライアスロン向けの心拍計付き腕時計SUUNTO t3dレビュー

新しく買ったロードバイクに取り付けるサイクルコンピュータとして、SUUNTO(スント)のt3dを選んでみた。腕時計型で、バイクにもランニングにも使えるトライアスリート向けの製品だ。胸バンド型の心拍計と、バイク用のセンサーがセットになっていた。

競合のガーミンやポラールより、外観が洗練されているように見えたのも購入の理由。「いかにもスポーツ用」という見た目でなく、普段着でも着けられそうな落ち着いたデザインに感じる。ケースの直径は大きいが、厚みはそれほどでもない。

普段の練習からマラソン・トライアスロンの大会出場まで、4年間使い込んでみた。最終的にはバイクに固定してサイコン専用機として使い、ランニング用は別の安い時計で間に合わせることになった。

裏蓋が外れ、ベルトがちぎれるまで酷使したSuunto t3dについてレビューしてみたい。

t3dの使用感

この手の腕時計型デバイスの利点は、複数種目のトレーニングで兼用できる点だ。ランニングとバイク用に別々のデバイスを用意する必要がなく、電池交換や調整の手間とコストを減らせる。

自転車のフォークとホイールにバイクポッドのセンサーを付けておけば、ハンドルに時計を巻くだけでt3dがサイクルコンピューターに変化する。

デメリットとしてサイコン専用機には使い勝手が劣り、ハンドルから毎回着脱する苦労もある。しかし必要最低限の情報を読み取るだけならこれで十分。アーミーナイフ的な多機能ガジェットといえる。

ベルトが切れたSUUNTO t3d

ランニングのタイム計測用途としては、ラップ計測可能でバックライトも備えており、特に不満はない。時間を測るだけならもっと軽くて薄いデジタル時計はあるが、SUUNTOはそれなりに高級感があるのでトレーニング以外のシーンでも着用できる。

胸に巻くベルト型の心拍計は、毎回走るたびに巻くのが面倒な上、洗ってもすぐ汗臭くなるので使わなくなってしまった。心拍を見るHRモードにすると、ラップタイムが中央下側に表示され、読みにくくなる問題もある。t3dには、ディスプレイ内で各数値の表示位置を入れ替える機能まではついていない。

エアロバーと兼用する場合

最初は時計に付属のマウントを挟んでハンドルに付けていたが、DEDAのエアロバーを後付けするとスペースがなくなってしまった。そこで、TNIのカーボンメーターステーをバーの間に装着し、一段下げて時計とライトをマウントすることにした。

SUUNTO t3dのハンドル上への設置方法

エアロバーの握り手がやや窮屈になるが、ステーを下げているので指が当たることはない。時計がハンドルより前方に出るので、この方が数値を読み取りやすくなる。

t3dは普通のサイコンに比べると、時計側面のボタンが小さくて押しにくい。距離計測のスタート/ストップだけでなく、特定区間でタイムを測定したい場合は特にもどかしい。エアロバーの間に挟む場合は、マウントから時計を外さないと側面ボタンを押すのはほぼ不可能になる。

t3dの電池交換方法

t3dの隠れた売りは、裏蓋を外して自分で電池交換できる点だ。時計店に頼めば千円程度かかるところ、費用を抑えられるのは地味にうれしい。

電池の交換に工具は必要なく、500円玉を溝に引っかけて回せば蓋は取れる。スクリューバックでパッキンも入っており3気圧防水。手首まわりの汗で濡れたり、軽く水をかぶったくらいでは壊れない。

SUUNTO t3dの裏蓋

対応するボタン電池は、サイコン・ライト用として一般的なCR2032。細めのマイナスドライバーを電池の側面に差し込んで引っかけると簡単に外れる。

SUUNTO t3dの電池交換

電池交換が終わって裏蓋を締める際は、手で回して溝を噛み合わせてから硬貨でトルクをかける。溝がずれた状態でねじ込んでしまうと、蓋を外してやり直すのに苦労する。防水性を担保するため、なるべく密閉した状態にしておきたい。

慎重に装着したつもりがネジがゆるんでいたのか、バイクで使用中、気づいたら裏蓋がなくなっていた。ハンドルに加わる振動で、徐々に回って脱落してしまったらしい。

t3dの裏蓋スペアは見つからなかったが、類似機種のt3c向け裏蓋(バッテリー交換キット)がamazonで販売されていた。t3dとも互換性があり、こちらで問題なくフィットした。

t3dのベルト交換

t3dをランとバイクでハードに使い込んでいたら、4年目にしてとうとうベルトが切れた。SUUNTOの純正ベルトは約4千円。サードパーティー製の互換製品は若干安く販売されている。

ベルトを交換してもよかったが、そろそろ本体も寿命という気がしてきた。交換した裏蓋のゴムパッキンは劣化してちぎれ、バイクのセンサーも感度も悪くなっている。

そこでt3dは適当にビニールタイでハンドルにくくりつけ、サイコン専用機として使うことにした。そのうち残りのベルトも切れてしまったので、今はベルト装着用のラグ穴に細いゴム紐を通してハンドルに結び付けている。

ケイデンスも測れず、時刻・速度・距離表示だけのシンプル機能だが、時計本体は薄型でかさばらない。TNIのステーを外してステムに載せるかたちにすると、見た目がすっきりして空気抵抗も抑えられそうだ。

ランニング用にMAOWの腕時計

サイコン化したt3dの代わりに、ランニング用に購入したのはマルマンのMAOW MD127という腕時計。ビックカメラの吊るしで、値段は千円ちょっとだった。

この価格にして日時・曜日・時刻表示はもとより、60ラップも計測可能なストップウォッチが付いている。さらに5気圧防水でバックライト付き、アラームとタイマー、デュアルタイム表示までそなえた信じられない高機能。

普段の練習だけでなく、マラソン大会で区間ラップを測るにも十分な性能だ。

マルマンのMAOW腕時計

見た目はTIMEXアイアンマン(1986年の初期モデル)のもろパクリ。ベルトに印字されたIRONMAN、INDIGLOというロゴがない分、マルマンの方がシンプルで普段使いしやすい。ブラック基調で色数も抑えられている。

使い方としては、側面左下のボタンでモードを変えて、右上ボタンでストップウォッチ計測開始。右下ボタンでLAPを刻み、ここを長押しでリセット。よくある方式なので迷うことはない。

マルマンのMAOW腕時計

ちなみに画面下のST/SPボタンは側面ボタンと機能がかぶっている上、小さくて押しにくいので使うことはない。TIMEXを真似してつけられたのであろう装飾的なパーツだ。

画面発光のELボタンも正面にあるが、日常利用で夜走るときも押すことはない。公園の街灯があるところで、ちらっとタイムを確認すれば十分。その方が見やすいうえ、無駄な電池消費も抑えられる。

結局、単機能が使いやすい

正面のMAOWという見慣れないロゴに違和感を覚えなければ、これほどコスパの高いガジェットはない。よく考えるとランニング用の時計など、チープカシオでも100均でも十分な気がしてきた。

千円以下で買えるカシオの名作F-91シリーズは、残念ながらラップ計測ができない。数百円上乗せして「スポーツギア」のシリーズを選ぶと、MAOWと同等の機能が手に入る。こちらは「G-SHOCKもどき」のルックスだが、10気圧防水なのでスイムでも使える。

サイクルコンピューターもt3dを流用して間に合っているところを見ると、CATEYEの最安モデルや中国製の格安品で十分なのだろう。ケイデンスや心拍数の計測もできれば楽しいが、やがて飽きる。ホビーユースでは、そこまで数値管理してトレーニングするほどでもない。

SUUNTOやGARMINの高機能な腕時計は、多種目で兼用できてお得そうな雰囲気がある。しかし見た目にこだわらなければ、ラン・バイク専用の安い時計・サイコンを買った方がコスパは高い。十徳ナイフは一見便利だが、「ここぞという作業」では単機能の工具の方が使いやすいのと同じ原理だ。